動画を編集し終わったあと、最後に待っているのが書き出し(エクスポート)です。
ここで設定を間違えると、「画質が落ちた」「ファイルサイズが大きすぎる」「YouTubeにアップロードできない」といったトラブルが起きます。
この記事では、用途別の最適な書き出し設定と、各ソフトの操作手順を解説します。
書き出し設定で理解すべき4つの用語
1. 解像度(画面サイズ)
| 名称 | サイズ | 用途 |
|---|---|---|
| フルHD(1080p) | 1920 × 1080 | YouTube・最も一般的 |
| 4K(2160p) | 3840 × 2160 | 高画質を求める場合 |
| HD(720p) | 1280 × 720 | 通信量を抑えたい場合 |
| 縦型フルHD | 1080 × 1920 | ショート動画(TikTok / Reels) |
迷ったらフルHD(1080p)で問題ありません。4Kは撮影素材が4Kの場合のみ。
2. フレームレート(fps)
1秒間に何枚の画像を表示するかの設定です。
| fps | 用途 |
|---|---|
| 24fps | 映画的な雰囲気(シネマティック) |
| 30fps | YouTube・一般的な動画。最もスタンダード |
| 60fps | スポーツ・ゲーム実況など動きの速い映像 |
原則:撮影時のfpsと同じfpsで書き出す。30fpsで撮影した素材を60fpsで書き出しても画質は上がりません。
3. コーデック(圧縮方式)
| コーデック | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| H.264 | 最も汎用的。YouTube推奨 | YouTube・SNS・一般 |
| H.265(HEVC) | H.264より高圧縮・高画質 | 4K動画、ファイルサイズ削減 |
| ProRes | 編集向け(高画質だが大容量) | 中間ファイル、Mac環境 |
「H.264」を選んでおけばほぼ全ての場面で問題ありません。
4. ビットレート(データ量)
1秒あたりに使うデータ量です。高いほど画質が良いですが、ファイルサイズも大きくなります。
| 解像度 | 推奨ビットレート |
|---|---|
| フルHD(1080p) | 10〜15 Mbps |
| 4K(2160p) | 35〜45 Mbps |
| ショート動画 | 8〜12 Mbps |
用途別の最適設定
YouTube(横型動画)
| 設定項目 | 推奨値 |
|---|---|
| 解像度 | 1920 × 1080(フルHD) |
| フレームレート | 30fps |
| コーデック | H.264 |
| ビットレート | 10〜15 Mbps |
| ファイル形式 | MP4 |
| オーディオ | AAC、48kHz、ステレオ |
YouTube Shorts(縦型)
| 設定項目 | 推奨値 |
|---|---|
| 解像度 | 1080 × 1920(縦型フルHD) |
| フレームレート | 30fps |
| コーデック | H.264 |
| ビットレート | 8〜12 Mbps |
| ファイル形式 | MP4 |
TikTok
| 設定項目 | 推奨値 |
|---|---|
| 解像度 | 1080 × 1920 |
| フレームレート | 30fps |
| コーデック | H.264 |
| ファイルサイズ | 287MB以下(TikTokの上限) |
Instagram Reels
| 設定項目 | 推奨値 |
|---|---|
| 解像度 | 1080 × 1920 |
| フレームレート | 30fps |
| コーデック | H.264 |
| ファイルサイズ | 4GB以下 |
| 動画の長さ | 最大90秒 |
納品用(クライアントへの納品)
クライアントから指定がなければ以下をデフォルトに。
| 設定項目 | 推奨値 |
|---|---|
| 解像度 | 1920 × 1080 |
| フレームレート | 撮影素材と同じ |
| コーデック | H.264 |
| ビットレート | 15〜20 Mbps(やや高めで高品質に) |
| ファイル形式 | MP4 |
納品前にクライアントに「書き出し設定の指定はありますか?」と確認するのがプロの対応です。
ソフト別:書き出しの手順
Premiere Pro
- ファイル → 書き出し → メディア(ショートカット:Ctrl + M)
- 形式:H.264
- プリセット:「YouTube 1080p フルHD」を選択
- ビットレート:「ターゲットビットレート」を12〜15 Mbpsに
- 「最高レンダリング品質を使用」にチェック
- 「書き出し」をクリック
DaVinci Resolve
- 画面下部の「デリバー」ページに切り替え
- 左上のプリセットから「YouTube」を選択
- フォーマット:MP4、コーデック:H.264
- 解像度:1920 × 1080
- 品質:「制限」→ 15,000 Kb/s(15 Mbps相当)
- 「レンダーキューに追加」→「すべてレンダー」
CapCut
- 右上の「エクスポート」をクリック
- 解像度:1080p
- フレームレート:30fps
- 品質:「高品質」(CapCutが自動でビットレートを調整)
- 「エクスポート」をクリック
CapCutは設定項目が少なく、ほぼ自動で最適化されます。
書き出しで起きやすいトラブルと対処
トラブル1:書き出した動画の画質が落ちた
原因: ビットレートが低すぎる
対処: ビットレートを上げる。YouTube向けなら10 Mbps以上、高画質にしたいなら15 Mbps以上に設定。
トラブル2:ファイルサイズが大きすぎる
原因: ビットレートが高すぎる、または解像度が必要以上に高い
対処:
– ビットレートを10 Mbps程度に下げる
– 4Kで書き出している場合はフルHDに変更
– H.265(HEVC)コーデックを使う(H.264より40〜50%ファイルサイズが小さい)
トラブル3:書き出しに時間がかかりすぎる
原因: PCスペック不足、または設定が重すぎる
対処:
– 他のアプリケーションを閉じてメモリを確保
– GPU対応の書き出し設定を使う(Premiere Pro:「GPUアクセラレーション」をON)
– プレビュー品質を下げて書き出し速度を優先
書き出し時間の目安(10分のフルHD動画):
| PCスペック | 目安時間 |
|—|—|
| Core i5 + 内蔵GPU | 15〜30分 |
| Core i7 + RTX 3060 | 3〜8分 |
| Core i9 + RTX 4070 | 1〜3分 |
トラブル4:YouTubeにアップロード後に画質が悪い
原因: YouTube側の再エンコードで画質が落ちる(アップロード後24〜72時間は低画質の場合がある)
対処:
– アップロード後24〜48時間待つ(YouTube側の高画質処理に時間がかかる)
– ビットレートを高めに設定して書き出す(YouTubeの再エンコードによる劣化を最小限に)
トラブル5:書き出した動画の色が撮影時と違う
原因: カラースペースの設定が異なる
対処:
– Premiere Pro:「出力のカラースペースを上書き」→ Rec.709
– DaVinci Resolve:プロジェクト設定 → カラーサイエンス → DaVinci YRGB
よくある質問(FAQ)
Q. H.264とH.265どっちがいい?
YouTube・SNS向けならH.264が安全。H.265は高画質・小サイズですが、一部の古いデバイスで再生できないことがあります。4K動画でファイルサイズを抑えたいときだけH.265を検討してください。
Q. 「VBR」と「CBR」の違いは?
- VBR(可変ビットレート):シーンに応じてデータ量を変動。画質とサイズのバランスが良い
- CBR(固定ビットレート):常に一定のデータ量。配信向き
通常の動画制作ではVBRを選んでください。
Q. 書き出し後にファイルをチェックするべき?
必ずチェックしてください。以下を確認:
– 最初から最後まで再生できるか
– 音ズレがないか
– テロップが正しく表示されているか
– BGMの音量バランス(スマホのスピーカーで確認)
Q. アルファチャンネル付きで書き出すには?
背景透過のロゴアニメーション等を作る場合:
– Premiere Pro:形式を「QuickTime」→コーデック「Apple ProRes 4444」→「ビデオチャンネル」で「+アルファ」
– After Effects:形式「QuickTime」→コーデック「ProRes 4444」
まとめ:迷ったらこの設定
| 設定項目 | YouTube | ショート動画 | 納品用 |
|---|---|---|---|
| 解像度 | 1920×1080 | 1080×1920 | 1920×1080 |
| fps | 30 | 30 | 撮影と同じ |
| コーデック | H.264 | H.264 | H.264 |
| ビットレート | 12 Mbps | 10 Mbps | 15 Mbps |
| 形式 | MP4 | MP4 | MP4 |
📝 ここがポイント:書き出し設定で迷ったら「YouTube 1080p / H.264 / 12Mbps」で出してください。これで9割のケースに対応できます。4Kや特殊な設定は、クライアントから指定されたときだけ変えれば十分です。
この設定を覚えておけば、90%の場面で対応できます。

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